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経営者のためのコンサルティング > 経営に役立つヒント 第11回

経営者のためのビジネス講座

2016.07.19 自社株評価の重要性と評価のポイント

この文章は、税理士法人名南経営によるものです。

※この文章は平成28年7月1日現在の情報に基づいて作成しています。具体的な対応については、貴社の顧問税理士などの専門家とご相談ください。

平成28年6月20日に国税庁から自社株評価を行うにあたって重要な「類似業種比準価額」(※1)が公表され、また、土地等の評価で利用する平成28年分の「路線価図等」(※2)も7月1日に公開されました。
そこで今回は、自社株評価の重要性と評価のポイントについて解説します。

  • (※1)平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)
    https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hyoka/160602/index.htm
  • (※2)平成28年分財産評価基準を見る http://www.rosenka.nta.go.jp/

1.自社株評価の重要性

近年の税制改正における法人税などの引き下げにより、法人実効税率がいよいよ20%台となった一方で、相続税や贈与税がそれぞれ最高税率55%に、所得税が最高税率45%(個人住民税と合わせて最高税率55%)になるなど、個人に対する課税が強化される傾向にあります。
特に会社のオーナーの財産に占める割合の多い自社株が「いくら」なのかは、事業承継における自己株式の取得、合併などの事業再編を含め、相続や贈与、譲渡の場面においてますます重要となっています。
しかし、上場株式であれば、株式市場があるため価格は日々確認ができますが、非上場株式の価格を把握するためには自ら評価を行う必要があります。
非上場株式の自社株評価について、公的に、かつ、詳細に評価方法を規定しているものは、国税庁の財産評価基本通達以外にありません。そのため、実務的には、財産評価基本通達に基づいて自社株評価を行います。
評価方法としては、会社に対する支配力に応じて、「原則的評価方式」と「特例的評価方式(いわゆる配当還元方式)」の2種類がありますが、本コラムでは、オーナー会社にとって重要である原則的評価方式について説明します。

2.原則的評価方式による自社株評価方法

原則的評価方式による自社株評価では、会社の規模等(従業員数、総資産価額、取引金額)に応じて、大会社、中会社、小会社の3つに区分し、「類似業種比準価額方式」、「純資産価額方式」または「併用方式」を用いて計算します。
原則として、大会社については、上場企業に準じた大規模な会社であることを考慮して、上場会社のうち類似する業種の株価を参考にした「類似業種比準価額方式」、小会社については、個人事業者に準ずると考えられることから「純資産価額方式」、中会社については、大会社と小会社の中間に位置づけられることから、類似業種比準価額方式と純資産価額方式を併用した「併用方式」によって評価することとされています。

<図表1 >会社の規模等と評価方法

大会社 類似業種比準価額方式
(納税義務者の選択により純資産価額方式で評価することも可能)
中会社 併用方式(類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L))
※L:中会社の大=90% 中会社の中=75% 中会社の小=60%
(納税義務者の選択により純資産価額方式で評価することも可能)
小会社 純資産価額方式
(納税義務者の選択により次の併用方式で評価することも可能
 併用方式(類似業種比準価額×50%+純資産価額×50%))

no1類似業種比準価額方式

類似業種比準価額方式は、上場会社のうち類似する業種の株価を参考に配当金額、利益金額、純資産価額の3つの要素を比準させて評価する方法です。

<図表2>類似業種比準価額方式の計算方法

類似業種批準価額方式の計算方法

(1)類似業種の株価

このうち、まず注目すべきは「類似業種の株価」です。
国税庁から公表された類似業種比準価額のうち、この類似業種の株価(平成27年平均と平成26年平均)を比較してみると、全118業種のうち実に108業種が前年よりも上昇しています。株価の変動率上位10業種目は図表3のとおりです。

<図表3>株価の変動率上位10業種目(単位:円)

業種目 平成26年
平均株価(①)
平成27年
平均株価(②)
変動率
②÷①
医薬品・化粧品小売業 392 818 208.7%
電気工事業 212 346 163.2%
パン・菓子製造業 433 684 158.0%
その他の小売業 263 413 157.0%
運輸に附帯するサービス業 185 290 156.8%
畜産食料品製造業 242 366 151.2%
その他の業務用機械器具製造業 357 536 150.1%
飲食料品小売業 288 411 142.7%
その他の小売業 237 337 142.2%
その他の機械器具卸売業 273 388 142.1%

類似業種の株価は評価時点において、前年平均・当月平均・前月平均・前々月平均の4つの内、いずれか低い株価を選択できます。平成27年中は、日経平均株価が2万円台をつけていた時期もありましたが、今年に入ってから下落傾向にあることから、平成27年平均(前年平均)の類似業種の株価よりも各月の類似業種の株価を採用した方が、評価額が低くなる場合もあります。
自社に特別の事情がない場合であっても、上場会社の影響を受ける場合があるため、毎年、公表される類似業種比準価額をもとに自社株評価を行って、自社株の評価額に対する影響を確認しましょう。

(2)利益金額

また、もう1つの注目点が「利益金額」です。
利益金額は、他の計算要素である配当金額や純資産価額と比べて、3倍の影響があります。配当金額や純資産価額については、毎年大きく変動することは少ないですが、利益金額は法人税の所得金額をベースに算定するため、業績が良いときほど自社株の評価額が高くなり、逆に悪いときほど低くなる傾向にあります。
当期の業績がどのように自社株の評価に反映されるのかを確認するためにも、決算・申告後に自社株評価を行うことをおすすめします。

no2純資産価額方式

純資産価額方式は、自社の財産の状況を反映した評価方法です。そのため、一般的には毎年大きく変動することが少ないといえます。

<図表4>純資産価額方式の計算方法

純資産価額方式の計算方法

ただし、3年以内に取得した土地等については、通常、取得価額で評価することとなりますが、3年を超えると路線価方式や倍率方式による評価となり、取得価額に比べて評価額が低くなる傾向にあります。
そのため、平成28年分の路線価図等を参考に、土地等の評価を行い、純資産価額がどのような金額となるかも確認するとよいでしょう。

4.自社株評価を行うことでスタートラインに!

ここまで自社株評価の重要性と評価のポイントを確認してきましたが、非上場会社にとっては、自社株評価を行うことによって、ようやくスタートラインに立つことができるといえます。
例えば、事業承継を行っている最中であれば、自社株を誰にどのようにいくら移していくのか、そもそも自社株対策は必要なのかなど、自社株が「いくら」なのかがわかることで、具体的な一手を打つことができます。
一方、自社株がいくらなのかがわからない状態で動いた結果、贈与税や相続税などについて多額の納税が発生する場合もあります。
そのため、自社株評価はもちろん、自社株の相続や贈与、譲渡の際には、税理士などの専門家と連携しながら実施することが重要といえます。

【税理士法人名南経営】

名南コンサルティングネットワークグループの一社として、幅広い顧客層にさまざまな経営コンサルティングなどを実践している。

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