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経営者のためのコンサルティング > 経営に役立つヒント 第12回

経営者のためのビジネス講座

2016.08.23 中小企業者の機械装置投資における固定資産税減税のポイント

この文章は、税理士法人名南経営によるものです。

※この文章は平成28年7月25日現在の情報に基づいて作成しています。
具体的な対応については、貴社の顧問税理士などの専門家とご相談ください。

平成28年度税制改正により、「中小企業等経営強化法」※1に基づき、中小企業者が作成する「経営力向上計画」に記載された機械装置を取得した場合には、3年度分の固定資産税を2分の1に減税する制度(以下、「本制度」という)が創設されました。
法人税における生産性向上設備投資促進税制では、特別償却や税額控除といった黒字法人を中心に適用を受けるものとなっていますが、本制度では「赤字法人」においても減税効果が見込めるものとなっています。
今回は、本制度の対象や手続きなどのポイントについて解説します。

<図表1>本制度の概要図

本制度の概要図

  • 〔出典〕中小企業庁「中小企業等経営強化法について(平成28年6月)」
    http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160610kyoka2.pdf
  • (※1)中小企業等経営強化法は、平成28年7月1日に施行され、中小企業・小規模事業者・中堅企業等を対象として、各事業所管大臣による事業分野別指針の策定や、中小企業・小規模事業者等への固定資産税の軽減や金融支援等の特例措置を規定した法律。

1.本制度の対象

no1対象となる「中小企業者」

本制度の対象となる「中小企業者」は、次に掲げる法人が該当します。

①資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
ただし、同一の大規模法人※2に発行済株式総数の2分の1以上を所有されている法人や2以上の大規模法人※2に発行済株式総数の3分の2以上を所有されている法人を除きます。 ②資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
※2:資本金の額もしくは出資金の額が1億円を超える法人または資本もしくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

no2対象となる「設備」

本制度の対象設備は、製造業者の導入する製造設備が広く対象となります。そのほかの業種においても、例えば、以下の図表2のような機械装置が該当します。

<図表2>業種別の対象設備の具体例

業種 具体例
卸・小売業 大型の冷蔵庫
精穀設備
販売のための小分けする加工設備
ガソリンスタンド設備 など
外食・中食業 厨房設備
食品加工設備 など
宿泊業 業務用の厨房設備
業務用のクリーニング設備
浴場用設備 など
運送業 可搬式クレーン
可搬式コンベア
介護業 給食用設備
介護入浴装置
  • 〔出典〕中小企業庁「固定資産税の軽減措置の対象」
    http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160708koteitaisyou.pdf

ただし、すべての機械装置が対象となるのではなく、図表3のフローチャートにあるように一定の要件を満たす必要があります。

<図表3>対象設備の判定フローチャート

対象設備の判定フローチャート

ところで、生産性向上設備投資促進税制のA類型においても、工業会の証明を受けた一定の機械装置については、法人税において特別償却や税額控除の特例が設けられています。ただし、A類型では「最新モデルであること」が設備の要件となっていますが、本制度ではこの要件は付されていません。そのため、本制度の設備は、最新モデルでなくても販売開始から10年以内の新品であれば対象となる点が特徴的といえます。
また、ファイナンス・リース取引で導入する設備は本制度の対象となりますが、オペレーティング・リース取引で導入する設備は対象外となります。

2.必要な手続き

本制度の適用を受けるには、次のような手順で手続きが必要となります。

① 設備メーカーを通じて工業会から証明書を入手
② 経営力向上計画申請書を作成し、工業会の証明書を添付して主務大臣に提出
③ 主務大臣は②の計画申請書を認定し、計画認定書を発行
④ 固定資産税の申告の際に、その申告書に①の工業会の証明書の写し、②の計画申請書の写し、③の計画認定書の写しを添付して自治体に提出

<図表4>本制度の適用を受けるための手続き

本制度の適用を受けるための手続き

  • 〔出典〕中小企業庁「経営力向上計画 策定・活用の手引き
    http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160701tebiki.pdf

中小企業庁のホームページにおいて、経営力向上計画申請書の記載方法や申請方法などの最新情報が公開されていますのでご確認ください。

※中小企業庁:経営サポート「経営強化法による支援」
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/

3.スケジュール上の留意点

実務上留意すべきことは、これら一連の手続きのタイミングです。

no1経営力向上計画申請時期

機械装置を取得した後で経営力向上計画の申請をする場合には、機械装置の取得後60日以内にこの計画の申請が受理される必要があります(郵送の場合は消印日が受付日となります)。この計画は、工業会の証明書を添付する必要があることから、工業会から証明書を入手するタイミングについても注意する必要があります。

no1年末までに認定が受けられない場合

本制度において、固定資産税の減税の対象年度は図表5のとおり、3年度分となります。

<図表5>固定資産税の減税の対象年度

固定資産税の減税の対象年度

  • 〔出典〕中小企業庁「中小企業等経営強化法について(平成28年6月)」
    http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160610kyoka2.pdf

しかし、機械装置の購入後、年末までに経営力向上計画について認定が受けられない場合には、2年度分となります。例えば、平成28年12月に取得したとしても、認定が年末までに間に合わない場合には、平成29年度分の固定資産税について減税が受けられず、平成30年度分と平成31年度分の2年度分となります。
よって、機械装置の取得前に工業会の証明書を入手してあらかじめ経営力向上計画の申請を行うなど、十分余裕を持った計画的な対応が必要です。

4.他の優遇税制や補助金との重複適用について

本制度は、生産性向上設備投資促進税制や中小企業投資促進税制など、他の優遇税制との重複適用が可能です。また、国・地方公共団体から補助金を受けた場合も対象になります。したがって、機械装置を取得する予定がある場合には、他の優遇税制や補助金とともに、本制度の適用が受けられるかも検討しましょう。なお、生産性向上設備投資促進税制のA類型の要件と類似していますが、工業会の証明書は様式が異なるため、2種類の証明書を入手する必要がある点に留意してください。

【税理士法人名南経営】

名南コンサルティングネットワークグループの一社として、幅広い顧客層にさまざまな経営コンサルティングなどを実践している。

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