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経営者のためのビジネス講座 > 縮小均衡時代における売上拡大ビジネスモデル 第4回

経営者のためのビジネス講座

2012.12.18数少ない成長市場 競争激化のネットショップをどう制するか!

この文章は、株式会社船井総合研究所によるものです。

はじめに

経済産業省による商業販売統計によると、日本の小売業は、平成21年度以降、毎年1~2%の割合で減少を続けています。
その一方でEC(電子商取引)市場は、「平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(平成24年度2月 経済産業省)によると、BtoC市場において年率約10%の割合で成長を続けています。BtoB市場においても、日本の市場内におけるEC取引率は毎年成長しており、どの産業をみても、ECをどのように経営に取り込むかは重要な経営課題となっています。EC化率のデータを見ると、2011年度は、総合小売で全体の4.7%です。上限は10%という人もいますが、それでもまだ、成長余地は十分にあります。
最近では、卸売業やメーカーがダイレクトで一般顧客にWebを通じて販売したいというご依頼も急速に増えています。ネットショップは、日本に居ながらにして海外への展開も考えられる素晴らしい業界であり、参入障壁が低く、気軽に出店することができます。
そこで、今回は、Webを通じて一般顧客に販売するネットショップで成功するポイントを記載したいと思います。

日本のBtoC-EC市場規模の推移(2007-2011)

日本におけるBtoC-ECの業種別内訳

ネットショップは実際どうなの? 儲かるの?

先ほど記載したように、EC市場は著しい成長をしているものの、多くの企業および人が参入しているため、競合増加、価格競争、サービス過剰、利益率の低下などで、厳しい状況が続いております。
これまで船井総合研究所ではさまざまなネットショップ経営者からご相談を頂いておりますが、80%くらいの方は利益が出ていないのが現状です。

その理由を簡単に整理します。
誰もが簡単に低コストで参入できる市場である⇒そのため、競合激化 さらにネットショップの最大の特性は比較購買である⇒価格競争に陥りやすく利益が出にくい

これ以外に実は、もう一つの特性があります。
昔から取り組んでいた会社が圧倒的に有利

というものです。重要なポイントは、リアルと同じで“立地”にあります。ネットショップでいう立地は、その検索ワードと、検索ワードで上位に表示されるかどうかにあります。Web検索においては、古いサイトほど上位に表示される傾向にあり、さらに一度上位に検索順位が上がると、訪問者も増えるため、検索順位が下がりにくくなるという、Web独特の仕組みで成り立っているからです。

ただ、儲かっている会社、業績を伸ばしている会社、直近で立ち上げた会社でも爆発的に売上を伸ばしている企業もあることは事実なのです。
そこで、後発でもネットショップで成功するポイントを述べていきましょう。

船井流ネットショップ成功方式

ポイント1:力相応一番を目指す

成功するかどうかの差は、自社の力相応に一番になれるところで商売をしているかどうかです。
まずネットショップは、商圏が“日本全国”であることを理解しましょう。そのため、取り扱いの商品は絞り込んでも売上はとれます。後発隊であればあるほど、自社の力相応に一番になれる商品を絞り込んで、リソースを一気に集中させて勝負しなければなりません。リアルショップで商品を絞り込むと、対象人口が狭くなるため、成功が難しくなります。しかし、ネットショップは、1店舗で日本中を対象にできるため、商品を絞り込んだほうが、早く一番になれます。
商品選定(事業ドメイン=検索ワードの選定)は、ネットショップにおいては非常に大切です。そして、一つ成功できたら、そのノウハウで横展開していき、売上を上げていきます。一番というのは、商品力一番×立地一番なので、絞り込んだ事業ドメインにおいて、商品力と立地を一番化するのが正攻法です。
たとえば、当社のクライアントにお祭りグッズのみを扱った「お祭り専門店」で大きな売上を上げている先があります。リアルショップでは、お祭り専門店は成り立ちにくいものです。しかし、ネットショップでは、それが十分に成り立ち、3億円以上の売上を確保できています。

ポイント2:商品数を圧倒的に増やす

力相応で一番化するために、一番になれる事業ドメイン(検索ワード)を絞り込むことを述べましたが、それを達成するために、もう一つ重要なことがあります。
それは、“カテゴリーの中で商品数を圧倒的に一番化すること”です。ネットショップは、リアルと違いモノがなくても売れる商売です。また、物理的な売場スペースが必要なく、いくらでも商品を増やすことができます。この特性を活かすことです。
カテゴリー内で商品数が多ければ、流入の窓口も増えていきます。アクセスが多いサイトは、優良なサイトであると判断されるため、検索における立地も一番化していきます。そのためにも、圧倒的に商品数を増やすことも、一つの方法として考えておきましょう。

ポイント3:顧客密着化

さらに重要なポイントを述べます。ネットショップも“ショップ”と名が付くとおり、通常の店舗と基本的な考え方は同じです。店舗において重要なことは、どれだけ固定客をつかむかということです。どのような商売も新規顧客開拓には多大なコストがかかるものです。しかし、既存顧客は、販促コストも非常に安くてすみ、固定客になると何もしなくても定期的に先方から店に買いにきてくれます。これが利益率向上の原則です。そこで、三つ目のポイントは、顧客密着化を実施し、顧客を固定客化することです。一度、購買してもらった顧客には、徹底して密着し、再購買してもらうことです。
船井総合研究所には、「3回安定、10回固定の法則」というものがあります。同じ顧客が3回、その店で購買してもらうと安定した顧客になり、10回購買してくれる顧客は固定化し、浮気をしなくなります。そのために、いかに短期間にリピートさせるかを色々な手をつかって考えます。これは、ネットショップでも全く同じです。たとえば、簡単なことですが、一度購買してもらった顧客は会員化し、購買の手続きを常連のように短縮化することや、ポイント発行するなどし、特別扱いするのです。また、再購買してもらうために商品購買の郵送物にしかけをすることもポイントです。このようなことは、当たり前です。

ポイント4:高粗利商材の開発と間接費の削減

力相応一番をとることが重要ですが、その上で商品において重要なことがあります。それは、粗利です。一番化ができてきたら、高粗利商材を開発、もしくは卸やメーカーと交渉し、原価率を下げていくことが重要です。粗利は理想を言えば40%以上ほしいですね。
なぜ高い粗利が必要かというと、ネットショップは、実は変動費コストが高いからです。最大のポイントは、物流費です。物流費は、単純に商品を発送する費用だけでなく、梱包にかかる費用、商品を箱につめるピッキング作業人件費、伝票などを処理する経費、などです。さらに、カード決済するとカード決済費用も変動費としてかかりますし、宅配便などでその場で現金回収する方法も回収費用がかかります。
そのために、間接費用をどれほど下げられるか、オペレーションコストをどこまで削減するかも重要な課題です。過去、依頼がきた会社にネット通販で10億円の売上がありながら、1億円の赤字という会社もありました。

少し計算してみましょう。
販売客単価5,000円×商品粗利30%=1,500円
配送コスト500円+ピッキング等人件費350円+梱包費150円+カード利用費用200円=1,200円
販売利益=1,500-1,200=300円
1人5,000円の売上を上げても、利益はたったの300円で、ここから人件費などをまかなっていきます。そのため、いかに間接経費の無駄を削減しなければならないかご理解いただけるでしょう。

船井流ネットショップ一番店構築で3年で年商3億円

船井総合研究所が推奨する収支モデルは以下となります。
初年度1名の専任者にてスタート。2年目で累積黒字を目標とします。平均商材単価は1万円です。(この数字が間接経費の増大と関係します。高い方が経費は下がります)
初年度より2年目3年目と実績を拡大することにより、交渉で原価を下げることができると仮定しております。最も顕著な例では、2年で原価率が15%改善できました。また、購買力がつくとPB開発の道も出てきます。
通常、新規参入の場合は、初期お客さま獲得のために商品粗利が25%程度と低くなりますが、おすすめ商品の構成比の向上や販売力強化によって、3年目で粗利30%程度を目指すことができます。
ネットショップの収支モデルで大事なポイントは、間接経費をどれだけ引き下げることができるのかです。そのためのシステム導入や仕組み化が大切です。売上が上がれば間接経費が増える、という構造にならないための取り組みが大切なのです。

収支モデルの一例

船井総合研究所では、ネットショップにおける商品戦略、店舗(ネットショップ)戦略、固定客化戦略、販売促進戦略、オペレーション戦略など、立上げから運営に必要なすべての対応を、しかも商品カテゴリーに応じた、それぞれの専門化をそろえ、より深くアドバイスできる体制をとっています。

【筆者プロフィール】

菅原 祥公(すがはら よしひと)
1991年 株式会社船井総合研究所入社
2010年 同社 執行役員 マーケティング推進室室長
2011年 同社 執行役員 第二経営支援部 部長
現在に至る

事業の方向性転換、新規事業の立上げなど、企業を新しい方向に導くためにマーケティングからマネジメントにいたるトータルでの事業計画構築およびその現場での展開を得意としている。近年では、不採算に陥った企業の事業再生やM&A先の企業バリューアップなどを現場で実践している。
著書に「最新ビジネスデューデリジェンスがよく分かる本」、「中期経営計画がよく分かる本」(共に秀和システムズ)、「経営の極意」(共著)などがある。

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