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経営者のためのビジネス講座 > 縮小均衡時代における売上拡大ビジネスモデル 第6回

経営者のためのビジネス講座

2013.4.9低投資からでも始められる
【急成長する郊外ファミリー向け価格均一居酒屋店の業態】

この文章は、株式会社船井総合研究所によるものです。

市場規模の縮小著しい居酒屋業態での成長

食事は、人間の欲望に近いところにあり、興味を持っている人も非常に多い分野です。また独立しようとして、多くの人が思い浮かべる産業の一つは、外食産業ではないでしょうか。今ならラーメン屋とかカフェなどがその代表格です。
そこで今回は、この外食産業にスポットを当ててみます。
さて、外食産業の市場規模は1997年頃をピークに減少を続け、現在はピーク時の29兆円から23兆400億円ほどに減少しています。この15年で79%と約2割ダウン。ちなみに97年は消費税が3%から5%に上がった年です。そこから、見事に毎年ダウンを続けています。

外食産業市場規模推移

この中で居酒屋業態に目を向けてみると、その落ち込みはもっと激しいものです。
ピーク時が1992年の1兆4,600億円ほどですが、2011年には1兆円を割り込んでいます。実に30%以上の減少率です。
そんな中、「鳥貴族」(株式会社鳥貴族)を代表とする280円均一型の居酒屋業態は、都市部を中心に成長しています。何を注文しても単価が同じなので会計時に「今日は思ったより高かった」「安かった」といったブレが少なくなります。そのため安心して好きなものを、値段を気にせず注文できるといった予算に関しての安心感があるのが均一店の特徴です。
価格均一居酒屋業態の勝ち組「鳥貴族」の創業は意外にも古く昭和60年。しかも創業当時から280円均一居酒屋という今と全く同じスタイルを貫いていたのですから、他社が簡単に追随できないのもうなずけます。 また最近話題となっているのが「俺のフレンチ」(VALUE CREATE株式会社)に代表される立ち飲み業態。高級食材を立ち飲みで提供することにより、通常のフレンチが席数1回転のところを5~8回転させ、低粗利でも収益を上げるという新たな業態が登場しています。ちなみにこの業態を生み出だしたのは、あのブックオフの生みの親である坂本孝氏です。ただし、この業態は超一流の調理人をひっぱってくるというモデルであり、多店舗展開は簡単にはできないかもしれません。

これらの繁盛業態で共通しているポイントは商品にあります。こうした店舗では、原価率が高くなっても質が高く、ボリューム(量)があるものを目玉商品として用意しており、それが消費者の満足感につながっています。こうした特徴が消費者の支持を集め、現在の外食産業では数少ない成長業態となっています。

居酒屋・ビヤホール等市場規模推移

郊外型ファミリー業態はまだまだ開拓の余地あり!

ここで郊外の方に目を向けてみましょう。郊外はファミリーが中心ですから昔からレストランが強かったのですが、現在は「100円均一回転寿司」業態の一人勝ち状態となっています。
また、関西中心に急成長しているのが「ワンカルビ」「金の豚」(株式会社ワン・ダインニング)の焼肉・しゃぶしゃぶ食べ放題といった業態です。食べ放題でありながら、完全オーダー制・丁寧な接客・飽きさせない豊富な品揃えで人気を得ています。

しかし一方では、郊外型の居酒屋チェーン店の多くが、道路交通法の罰則強化の影響もあり撤退しています。こうしたチェーン店が撤退した後に残された空き物件が郊外には多くあり、居抜き物件として借りれば初期投資が抑えられるという背景があります。さらにファミリーで利用できる郊外型の飲食店は、レストランや回転寿司などが主で、選択肢が少なくファミリー向け価格均一居酒屋の参入余地は残されているといえます。

郊外型ファミリー向け均一居酒屋業態が成功する理由

郊外型の成功事例である回転寿司や食べ放題も、基本ターゲットはファミリーです。
先にも記載したように、何を注文しても単価が同じなので、安心して好きなものを値段を気にせず注文できるといった、予算に関しての安心感があるのが均一業態の特徴です。子供に値段を気にしながら食べさせるより、「今日は何を頼んでもいいよ!どんどん食え!」と父親なら言いたいところですよね。
また、商品に関してポイントとなるのがボリュームや目玉商品です。どのお客さまもほぼ必ず頼んでくださり、みんなが満足するといった看板商品がなければなりません。
現在のデフレ環境下では、ただ安いだけでは顧客は来てくれません。先にも記載したように、少々原価率が高くなっても質が高く量があるものを目玉商品として持つことが戦略上重要です。これはファミリー向けとて同じです。
また現在、株式会社船井総合研究所では特に、鳥や豚などの素材を前面に打ち出したスタイルの飲食店を提案しています。このスタイルの飲食店ならば、調理の研修などに必要な時間やコストが短くて済み、経験者が必要なくなります。また、比較的原価も抑えやすくなっています。
さらに均一業態では、単品ごとの粗利が大きく異なるため、そのミックスがポイントです。どの商品を目玉商品として原価を高めに設定し、訴求するのか。一方で、どの商品で粗利を稼ぐのかなどを店の特徴や競合条件などに応じて変更していく必要があります。この商品メニューと粗利設定が、この均一業態におけるポイントの一つとなることを覚えておいてください。

収支モデル

この郊外型均一飲食店の基本は、車で10分圏内に商圏人口10万人というのが一つの出店目安となります。
投資は既存飲食店からの業態転換の場合は500万円から可能ですし、通常居抜き物件は1,000万円からが目安となります。現在、郊外の飲食空き物件が多く出ており、入念に探すと必ず良い物件が出てくると思われます。
また、郊外型店の命は駐車場です。この駐車場は30台程度の確保が必要です。店舗面積は40坪を標準タイプとしています。
また営業時間は夜のみ営業(17時~24時)とします。人件費などのランニングコストを考えると、夜のみの営業に特化した方が良い場合もあります。
下記表は、同上の条件をもとに株式会社船井総合研究所が支援した先の収支モデルの事例です。

表

船井総合研究所では、この業態に対して、立地選定、施設・設備のあり方、立ち上げからの事業オペレーション、運営ノウハウまでアドバイスさせていただくことができます。

【筆者プロフィール】

菅原 祥公(すがはら よしひと)
1991年 株式会社船井総合研究所入社
2010年 同社 執行役員 マーケティング推進室室長
2011年 同社 執行役員 第二経営支援部 部長
現在に至る

事業の方向性転換、新規事業の立上げなど、企業を新しい方向に導くためにマーケティングからマネジメントにいたるトータルでの事業計画構築およびその現場での展開を得意としている。近年では、不採算に陥った企業の事業再生やM&A先の企業バリューアップなどを現場で実践している。
著書に「最新ビジネスデューデリジェンスがよく分かる本」、「中期経営計画がよく分かる本」(共に秀和システムズ)、「経営の極意」(共著)などがある。

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