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経営者のための税務・会計解説

税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2012.8.21消費税の増税 中小企業はどう乗り越える?

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

1.消費税増税法案が衆議院通過

平成24年8月10日の参議院本会議で社会保障・税の一体改革の関連法案(※1)が可決、成立しました。いよいよ実現された消費税増税ですが、増税分を価格転嫁できるか、コスト削減で吸収できるかなど、企業にとっては死活問題です。そこで、特に消費税の影響を受けやすい中小企業が、消費税の増税にどう対応していくべきかを見ていきましょう。

※1「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案」(以下、「消費税増税法案」という)

2.消費税増税法案と経過措置

民主・自民・公明の3党間で実務者協議に入って、すぐに民主・自民の2党が合意したのは、消費税率の2段階のアップについてです。もともと自民党が消費税率10%引き上げを公約にしていたこともあり、自民党が民主党に賛成の意を示すと、公明党もこれに続き、税率アップと実施時期についてはスムーズに決定しました。消費税の税率や引き上げ幅などは以下の図1の通りです。

【図1】消費税率の引き上げ案

消費税増税法案の施行日は平成26年4月1日です。平成26年4月1日以後の売上と仕入・経費等では8%の税率が適用され、平成26年3月31日までは5%の税率が適用されます。
ただし、消費税増税法案での附則では、3%から5%に引き上げられた平成9年の経過措置と同様に、「請負工事」、「資産の貸付」など、一定の取引について経過措置が設けられています(図2参照)。

【図2】主な経過措置案

経過措置によれば、指定日の前日までに長期間の不動産貸付けの契約等を締結した場合、その期間の消費税が5%となる場合があります。今後は、経過措置の対象となる取引については、平成25年9月30日までに契約を締結するといった対応も検討すべきでしょう。

3.価格転嫁と資金繰り

中小企業は消費税の増税の負担をどう考えているのでしょうか。以下の図3からは、売上高の小さい中小企業ほど、消費税を販売価格に転嫁できていない厳しい状況がうかがえます。

【図3】中小4団体による転嫁に係る調査結果

価格転嫁の問題については、消費税増税法案では、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずることが記載されています。これは、消費税率の引き上げに伴い,下請け業者へ不当に消費税率の引き上げ分相当額を負担することのしわ寄せがいかないよう未然に防止することを目的としています。ただし、発注元の圧力で中小・零細事業者が価格に上乗せできず、事実上の値引きを迫られるケースも想定できます。消費税増税に係るコスト増にどのように対応するか。企業によってはより一層のコストカットを余儀なくされるような厳しい選択を迫られることになるでしょう。
また、消費税相当分を預り金として確保していても、日々の資金繰りにまわしてしまうと納税資金の準備に四苦八苦してしまいます。この納税資金の資金繰り管理を負担と思う中小企業も多いようです(図4参照)。

【図4】中小企業者が消費税の納税事務で何に負担を感じるか

中小企業経営にとって資金繰りは血液のようなもの。資金繰りが悪化することは経営の行き詰まりを意味します。今後は消費税の増税に備え、消費税の納税資金も考慮した資金繰りの管理が必要です。

4.実務上の対応

消費税の税率の引き上げが予想される局面において、企業はどのようなことを検討すべきでしょうか。
工事の請負や長期間の賃貸借契約を結ぶ場合は、消費税増税法案の経過措置に注意し、契約時期を判断すべきでしょう。また、消費税増税に伴い、売上に価格転嫁ができるか。できない場合は、コスト増を吸収できる経営ができるか。消費税増税を踏まえたコスト対策など、より一層厳しい経営戦略を検討すべきです。

【東京 朝日税理士法人】
税務、会計、コンサルティング、会社設立支援、不動産など、総合サービスを展開。
法人から個人まで、幅広い顧客層への対応を行っている。
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