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経営者のための税務・会計解説

税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2013.1.8企業の将来を見据えて、決算を考える

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

1.決算を迎えるにあたって意識すること

平成24年11月6日に公表された内閣府の景気動向指数(平成24年9月分速報)によれば、日本経済(景気動向指数CI一致指数)は下方への局面変化を示しているとのことです。このような厳しい経済環境下においても利益を確保する見込みの企業は、これまでも企業努力を積み重ねてきたといえるでしょう。

企業のさらなる発展を考えたとき、決算の時期こそ、企業の置かれている状況を正しく認識し、新たな投資や潜在的なリスクの効果的な移転といった、企業の将来を見据えた施策を考える良い契機となるのではないでしょうか。

2.投資と税制 ~中小企業投資促進税制~

企業が将来に向けた投資を実施するときには、機械装置、器具・備品やソフトウェアといった資産を取得することがまず考えられ、投資規模が多額になることもあります。税制のなかには、中小企業が一定の資産の取得を行う際にこれを支援しようというものがあり、その代表的なものが「中小企業投資促進税制」といわれるものです(図1参照)。

(図1)中小企業投資促進税制の概要

対象業種 ほぼ全業種
(娯楽業、風俗営業等を除く)
対象事業者 中小企業者等
(資本金1億円以下)



機械・装置 すべて(1台160万円以上)
器具・備品 ・電子計算機
(1台あるいは複数台計120万円以上)
・測定工具及び検査工具
・試験又は測定機器
(1台30万円以上かつ 1台あるいは複数台計120万円以上)
・デジタル複合機
(1台120万円以上)
ソフトウェア 1基あるいは複数基計70万円以上
※情報基盤強化税制におけるソフトウェア部分を統合
貨物自動車 車両総重量3.5t以上
内航船舶 取得価額の75%
措置内容 特別償却30%又は税額控除7%
(税額控除は資本金3千万円以下に限る)

(中小企業庁「中小企業投資促進税制の改正について」平成24年4月3日 資料より抜粋)

この税制では、税額控除または特別償却のいずれかを適用することができます。税額控除とは法人税額から一定の額を控除するもので、特別償却とは通常よりも多額の減価償却を税務上認めるものです。いずれも政策上の配慮等から特別な措置として認められているものです。

ただし、税額控除と特別償却は同時適用ができず、ファイナンス・リース取引による取得については税額控除の規定のみ適用を受けることができます。なお、税額控除の適用には法人の規模要件が厳格になっています。また、この税制は適用期間が平成25年度末までとされています。この制度を利用する際にはこれらの点に注意が必要です。

3.保険によるリスク・コントロール

企業を経営していく上では、経営者の健康リスクや事業リスクといった潜在的なリスクをいかにコントロールするかが問題となり、保険を利用してリスク移転をおこなうという選択が考えられます。また、解約返戻金のある保険の場合は、役員退職金の準備などといった将来の支出に対する備えとしても有効に機能する場合があります。

ただし、保険に関する税制は複雑で、法人契約の定期保険であっても契約内容によっては支払保険料の全額が損金にならないことがあります。また、平成24年4月27日付で国税庁から公表された法令解釈通達(課法2-5)によって法人が支払うがん保険(終身タイプ)の保険料の取り扱いが見直されたように、税制上の取り扱いは変更されることも多いので、留意が必要です。

さらに、解約返戻金がある保険の場合、返戻金の額は解約返戻率に左右されることになり、解約の時期によって返戻率は大きく異なります。そのため、保険への加入を検討する際は、対象となる商品の特性をよく理解した上で、本来の加入目的を見失わないようにしたいものです。

4.不要な管理コスト等の削減

長期滞留在庫の廃棄や見切り販売、不良債権の整理、価格が下落している有価証券の売却など、含み損のある資産を早めに処分することも企業の将来に向けて有効な場合があります。

特に長期滞留在庫等を抱えている場合、保管コスト等が発生し続けていることも考えられますので、不要な在庫を処分することによって余計なコストを抑えることができる可能性もあります。

ただし、売却価格が大きい場合は、消費税の納税額が当初想定していた金額よりも増加する可能性があります。また、100%グループ法人間の譲渡時であれば売却損益が繰り延べられる場合があります。資産を処分する際は、これらの点にも留意する必要があるでしょう。

5.インセンティブとしての決算賞与

従業員に対する決算賞与の支給も、士気を向上させるインセンティブとして有効かもしれません。支給基準をある程度明確にすることで、一定の効果を期待できます。

決算賞与は、金額確定が期末である一方で支給時期が翌期になることが多いと考えられますが、このような場合には費用の帰属時期が問題となります。税務上は、原則として従業員への実際の賞与支給時に損金となりますが、一定の要件を充たした場合には、賞与支給が翌期であっても、金額確定した当期の損金になります。

ただし、役員に対する臨時の賞与は原則としてすべて損金に算入されませんので、注意が必要です。

<要件>

  • 支給額を、各人別にかつ同時期に支給を受けるすべての従業員に対して通知する。
  • 1の通知をした金額を、通知したすべての従業員に対し、通知した日の属する決算期末の翌日から1ヶ月以内に支払う(翌期最初の1ヶ月以内に支払う)。
  • その支給額を、通知した決算期において損金経理している。

(法人税法施行令72の3二を基に要約)

6.計画的に決算を迎える

決算を間近に控えてからでは、将来に向けた有効な施策を実施することがなかなか難しい場合があります。本来は購入する必要のない物品を無計画に購入してしまい、結果として資金が無駄に流出してしまうといったことがあるかもしれません。

決算までの見通しは早めに立て、今後の事業展開の方向性や損益計画、資金繰り計画等に基づいた計画的な施策を立案し実施することが、企業経営にとって最も効果的であるといえるでしょう。それには、経営者や経理部門だけがもつ情報で判断するのではなく、企業内の各部門間の連携や意見集約等が必要になるかもしれません。

また、外部の専門家から客観的な立場に基づくアドバイスを受けることも有益な場合があります。税制は複雑ですので、慎重な判断を求められる場面も少なくないでしょう。そのため、決算を迎える際には、早めに貴社の顧問税理士等の専門家にご相談されることをおすすめします。

【東京 朝日税理士法人】
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