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経営者のための税務・会計解説

税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2013.3.5おさえておきたい!平成25年度税制改正

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

1.平成25年度税制改正大綱の概要

平成25年度税制改正大綱は、平成25年1月24日に公表され,1月29日に閣議決定されました。
今回の税制改正の主な概要は、次のとおりです。

法人税 持続的な経済成長を可能とする成長戦略に基づき、民間投資や雇用を喚起するための税制を創設する。
所得税 所得の再分配機能の回復のため、最高税率を引き上げる。
相続税 富の再分配機能の回復のため、最高税率を引き上げるとともに、基礎控除を縮減する。
贈与税 最高税率を引き上げつつ、世代間の財産移転を促進する措置を設ける。
事業承継税制 制度の利用を促進するために、適用要件の緩和等の措置を講ずる。

【作成:朝日税理士法人】

上記のほかにも数多くの措置が盛り込まれている税制改正大綱ですが、今回は特に法人課税を中心に、企業オーナーの方にも関係がある相続税などの資産課税にも焦点をあてて、その内容を確認していきます。

2.法人課税

国内設備投資を促進するための税制措置の創設

設備投資の拡大による経済の底上げ、生産設備の更新を通じた産業競争力の強化を図るため、国内における設備投資を喚起する税制が創設されます(所得税についても同様です)。

これは、青色申告法人が一定の生産等設備の投資を行った場合に、その生産等設備を構成する資産のうち一定の機械装置について、税額控除(3%)と特別償却(30%)の選択適用を認めるものです。

適用対象法人 青色申告法人
適用要件 一定期間内に取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備で、その事業年度終了の日に有するものの取得価額の合計額が、次の(1)及び(2)の金額を超える場合

(1)その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額
(2)前事業年度において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備の取得価額合計額×110%相当額

一定期間 平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度を除く)
特別償却 取得価額×30%
税額控除 取得価額×3% 
控除限度額 当期の法人税額×20%
生産等設備の
範囲
製造業その他の他の事業の用に直接供される減価償却資産(無形固定資産及び生物を除く)で構成されているもの。
ただし、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設等は該当しない。

※注:特別償却か税額控除を選択適用 【作成:朝日税理士法人】

企業による雇用・労働分配を拡大するための税制措置の創設

雇用の一層の確保及び個人の所得拡大を図ることで消費需要の回復を通じた経済成長を達成するため、所得拡大促進税制の創設及び雇用促進税制の拡充がなされます(所得税についても同様)。

1. 所得拡大促進税制の創設

青色申告法人が国内雇用者に給与等を支給する場合において、その増加額が一定程度以上であるときは、増加額の10%の税額控除を認める措置が創設されます。

ただし、雇用促進税制等との選択適用である点に留意が必要です。

【所得拡大促進税制の創設】
適用対象法人 青色申告法人
適用要件 一定期間内に、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、以下の要件を満たす場合
(1) 雇用者給与等支給増加額   5%
基準雇用者給与等支給額
(2)雇用者給与等支給額  前期の雇用者給与等支給額
(3)平均給与等支給額  前期の平均給与等支給額
一定期間 平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度
税額控除 雇用者給与等支給増加額×10%
控除限度額 当期の法人税額×10%
中小企業者等は、当期の法人税額×20%
選択適用 雇用促進税制、復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度等との選択適用
雇用者給与等
支給額
各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される、国内雇用者に対する給与等の支給額
雇用者給与等
支給増加額
雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額
基準雇用者給与等支給額 平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前事業年度において、損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額

【作成:朝日税理士法人】

2. 雇用促進税制の拡充

既に導入されている雇用促進税制(平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度における時限措置)について、税額控除額の拡充の改正がなされます。

【雇用促進税制の拡充】
適用対象法人 青色申告法人
税額控除 増加雇用者数×40万円 (現行20万円)
控除限度額 当期の法人税額×10%
中小企業者等は、当期の法人税額×20%

【作成:朝日税理士法人】

なお、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲について、所要の措置を講ずることとされています。

一定の中小企業等の経営改善に向けた設備投資を促進するための
税制措置の創設

中小企業の活力強化を図ることを目的に、中小企業が経営改善のために店舗改修等の設備投資を行う場合に特別償却または税額控除ができる制度が創設されます(所得税についても同様)。

これは、青色申告書を提出する中小企業等で商工会議所等から経営改善に関する指導及び助言を受けたものが対象になる制度で、その指導及び助言を受けた一定の設備投資を行った場合に、税額控除(7%)と特別償却(30%)の選択適用を認めるものです。

【中小企業等向け設備投資促進税制の創設】
適用対象法人 青色申告書を提出する中小企業等で、
商工会議所等から経営改善に関する指導及び助言を受けたもの
適用要件 一定期間内に、経営改善に関する指導及び助言を受けて行う店舗の改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等をして指定事業の用に供した場合
一定期間 平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間
特別償却 取得価額×30%
税額控除 取得価額×7%
税額控除は、資本金の額等が3,000万円以下の中小企業等に限る
控除限度額 当期の法人税額×20%  控除限度超過額は1年間の繰越が可能
指定事業 卸売業、小売業、サービス業及び農林水産業(これらのうち一定の事業を除く)
対象設備 器具備品:1台または1基の取得価額30万円以上
建物附属設備:取得価額60万円以上

※注:特別償却か税額控除を選択適用 【作成:朝日税理士法人】

中小法人の交際費等損金不算入制度の改正

中小法人に係る交際費等の定額控除限度額が800万円(現行600万円)に引き上げられるとともに、定額控除限度額までの損金不算入措置(現行10%)が廃止されます。この改正により、800万円までの交際費支出の全額を損金に算入することが可能になります。

環境関連投資促進税制の適用期限延長・見直し

再生可能エネルギーと省エネ設備の導入を最大限推進するため、環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)について、以下の見直しが行われます(所得税についても同様です)。

  • 適用期限を2年延長
  • 即時償却の対象となる設備に、熱電併給型動力発生装置を追加
  • 即時償却対象以外の設備について、定置用蓄電設備等を追加
  • 対象設備について、補助金等の交付を受けて取得等をしたものを除外
【改正前】
適用対象資産 償却限度額 適用期限
新エネルギー利用設備等のうち、
一定の太陽光発電設備または風力発電設備
即時償却
(100%)
平成25年3月31日
即時償却対象以外の新エネルギー利用設備等
(水熱利用設備、バイオマス利用設備等)
特別償却
(取得価額×30%)
平成26年3月31日
二酸化炭素排出抑制設備等
エネルギー使用合理化設備・エネルギー使用制御設備
【改正後】
適用対象資産 償却限度額 適用期限
新エネルギー利用設備等のうち、一定の太陽光発電設備または風力発電設備 即時償却
(100%)
平成27年3月31日
熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)
即時償却対象以外の新エネルギー利用設備等(水熱利用設備、バイオマス利用装置等) 特別償却
(取得価額×30%)
平成28年3月31日
二酸化炭素排出抑制設備等
エネルギー使用合理化設備・エネルギー使用制御設備
定置用蓄電設備等

※赤字が追加・延長された箇所です。 【作成:朝日税理士法人】

3.個人所得課税・資産課税

所得税の最高税率の見直し

平成27年分以後の所得税においては、課税所得4,000万円超の区分について、45%の税率が設けられます。復興特別所得税と住民税を合わせると最高税率が55.945%になります。

相続税の基礎控除及び税率構造の見直し

平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について、相続税の基礎控除額がこれまでより40%カットされるとともに、税率構造が見直されます。

(1)基礎控除の見直し
  現行 改正案
定額控除 5,000万円 3,000万円
法定相続人比例控除 1,000万円×法定相続人数 600万円×法定相続人数
(2)税率構造の見直し
現行
区分 税率
1,000万円以下の金額 10%
3,000万円   〃 15%
5,000万円   〃 20%
1億円     〃 30%
3億円     〃 40%
3億円超の金額 50%
改正案
区分 税率
1,000万円以下の金額 10%
3,000万円   〃 15%
5,000万円   〃 20%
1億円     〃 30%
2億円     〃 40%
3億円     〃 45%
6億円     〃 50%
6億円超の金額 55%

【作成:朝日税理士法人】

相続税の小規模宅地等特例の見直し

特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積が、現行の240m2から330m2までの部分に拡充されます。この見直しは、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

暦年課税贈与財産に係る贈与税の税率構造の見直し

平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る暦年課税贈与税について、贈与者と受贈者との関係によって税率構造が異なることになります。

 
現行
区分 税率
200万円以下の金額 10%
300万円   〃 15%
400万円   〃 20%
600万円   〃 30%
1,000万円  〃 40%
1,000万円超の金額 50%
(1)20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合
改正案(1)
区分 税率
200万円以下の金額 10%
400万円以下の金額 15%
600万円   〃 20%
1,000万円  〃 30%
1,500万円  〃 40%
3,000万円  〃 45%
4,500万円  〃 50%
4,500万円超の金額 55%
(2)左記(1)以外の贈与の場合
改正案(2)
区分 税率
200万円以下の金額 10%
300万円以下の金額 15%
400万円   〃 20%
600万円  〃 30%
1,000万円  〃 40%
1,500万円  〃 45%
3,000万円  〃 50%
3,000万円超の金額 55%

【作成:朝日税理士法人】

相続時精算課税制度の適用要件の見直し

相続時精算課税制度の適用要件が以下のとおり緩和されます。この措置は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用されます。

  現行 改正案
受贈者の範囲 推定相続人のみ 20歳以上である孫を追加
贈与者の年齢要件 65歳以上 60歳以上

【作成:朝日税理士法人】

4.事業承継税制

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、制度の利用を促進するための見直しが行われます。
この見直しは、所要の経過措置を講じた上で、平成27年1月1日以後に相続もしくは遺贈または贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税について適用され、主な内容は以下のとおりです。

税目 内容
相続税・贈与税 事前確認制度の
廃止
経済産業大臣による事前確認制度が廃止
相続税・贈与税 雇用確保要件の
緩和
雇用確保要件について、5年間(経済産業大臣の認定の有効期間)の平均が相続開始時または贈与時の80%を下回った場合に納税猶予の取消事由に該当するものと緩和
相続税・贈与税 経営承継相続人等の要件の緩和 非上場会社を経営していた被相続人の親族であることとする要件が撤廃され、親族外も可
贈与税 贈与者の要件の
緩和
贈与税の納税猶予における贈与者の要件のうち「贈与時において認定会社の役員でないこと」とする要件について、
「贈与時において認定会社の代表権を有していないこと」に改正

【作成:朝日税理士法人】

5.その他の主な改正

これまで確認した内容以外の主な改正内容は、以下に掲げるとおりです。

拡大して見る 平成25年度税制改正 その他の主な改正 【作成:朝日税理士法人】 拡大して見る

6.実務上の対応

今回の税制改正は、昨今の経済危機を打破するためのさまざまな措置が盛り込まれ、大がかりなものとなっています。特に、法人課税では設備投資や人材投資を促進するための税制が創設・拡充されたことから、有効活用したいものです。そのためには、新しい制度をよく理解し、積極的に活用した事業計画を早めに策定することが必要になるでしょう。

具体的な内容については、貴社の顧問税理士等の専門家にご相談ください。

この文章は平成25年1月29日現在の情報に基づいて作成しています。また、税制改正の内容は国会で承認されて初めて確定されるものである点について、ご留意ください。

【東京 朝日税理士法人】
税務、会計、コンサルティング、会社設立支援、不動産など、総合サービスを展開。
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