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経営者のための税務・会計解説

税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2013.7.9平成26年度税制改正の議論を前倒し
-法人税の実効税率等引き下げも議論の対象に!-

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

1.第3の矢「新たな成長戦略」を平成25年6月14日に閣議決定

安倍政権は日本経済再生に向け、民間投資を喚起する第3の矢「新たな成長戦略」を6月14日に閣議決定しました。すでに第1の矢「大胆な金融政策」、第2の矢「機動的な財政政策」を放ち、これで3本の矢が出揃ったことになります。日本経済の再生とデフレからの脱却を実現するため、3本の矢を同時展開し、10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の目標の達成を目指しています。

2.平成26年度税制改正の議論の前倒し

日本再興戦略と命名されたこの成長戦略の閣議決定を受けて、法人税減税の具体策を巡る綱引きが活発になってきたようです。そもそもの発端は、6月5日に発表された成長戦略の素案が、市場から踏み込み不足と受け止められたことです。これにより日経平均の下落幅は前日比で500円を超えました。経済活性化に取り組む姿勢を強く打ち出す追加策が求められる中、安倍首相は秋の臨時国会で投資減税を実現すると明言し、最終案に投資減税の文言が追加明記され、閣議決定されました。
スピード感を持った対応を行うために、自民党の税制調査会による改正作業について、通常より2カ月前倒しして9月に着手することになりそうです。想定されるスケジュール案は2つあります。

  • 議論の前倒しに留まらず、秋の臨時国会に関連法案を提出する案
    成長戦略を具体化する減税措置を盛り込んだ産業競争力強化法を秋の臨時国会で成立させる。その結果、税制改正の一部については平成25年の秋の臨時国会、その他は平成26年の通常国会で例年通り成立させることになる見込み。
  • 議論を前倒しして、秋に企業向けの税制方針を発表し、来年の通常国会に法案を提出する案
    秋に企業向けの減税方針をまとめ、年明けの通常国会に税制改正法案を提出し、成立した後、方針を発表した秋まで遡るというもの。

まずは、自民党の税制調査会に先立ち、税制のあり方を有識者で議論する政府の税制調査会が6月末から再開されます。

3.税制改正の焦点

税制改正では、企業の事業再編や設備投資の更新を促す投資減税などが検討対象になりますが、法人税等の実効税率の引き下げも議論される見通しです。財務省は設備投資を増やした企業を対象に優遇税制など租税特別措置で支援する考えを持っていますが、法人税等の実効税率引き下げには財源の問題もあり慎重な態度です。それに対して経済界は設備投資減税に加えて高止まりする法人税等の実効税率の引き下げを求めています。

4.法人税等の実効税率

ここで一度、現行の取り扱いを確認してみましょう。
法人税等の実効税率は、平成23年度まで40.69%ですが、24年度から26年度までは38.01%、27年度以降は35.64%に引き下がることが決定済みです。さらに、平成24年に閣議決定した社会保障・税の一体改革大綱では平成27年度以降において法人課税のあり方について検討すると明記しています。つまり、法人税等の実効税率について議論することを示唆しています。
ところが今回、安倍政権の第3の矢である日本再興戦略に関連して、法人税等の実効税率の引き下げ議論が平成25年に前倒しでおこなわれることになったのです。

【作成:朝日税理士法人】

5.国際的に高いとされる法人税等実効税率

日本企業が海外現地法人を設立する理由として、円高、新興国の低賃金、環境制約、経済連携の遅れ、電力供給不足といった弊害が挙げられますが、一番の理由は国際的に見て高い法人税等の実効税率にあります。海外に生産拠点の設置を決めれば、工場用地の取得や工場の建設等に取りかかります。そのため、安倍政権誕生後に、為替が円安に振れましたが、それだけではいったん決めた生産拠点の海外移転を中止することは容易ではありません。
よって、法人税等の実効税率引き下げの議論自体を早めに行い、その税率水準について企業が中長期的な見通しを立てることができるようにすることに意義はあります。

6.実務上の対応

今回の税制改正では、企業の設備の更新を後押しする大規模な減税や法人税等の実効税率の引き下げが検討されることから、設備投資を検討している企業、黒字の企業はまずその議論の内容を引き続き注視してください。
具体的な対応については貴社の顧問税理士等の専門家とご相談ください。

この文章は平成25年6月24日現在の状況に基づいて作成しています。

【東京 朝日税理士法人】
税務、会計、コンサルティング、会社設立支援、不動産など、総合サービスを展開。
法人から個人まで、幅広い顧客層への対応を行っている。
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