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経営者のための税務・会計解説

税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2010.6.29法人税改革の方向性 法人税率引き下げがより濃厚に

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

1.平成22年度税制改正の中長期の方針

2009年12月にまとめられた平成22年度税制改正で法人税を将来どうするのか、その方向性が打ち出されています。ひと言でいえば、減税。政府は中長期的に法人実効税率を引き下げる方針です。その後の議論をみても、税率引き下げは濃厚です。今後、税率の下げ幅とタイミングが本格的に検討されるでしょう。

2.国際的に高い日本の法人実効税率

そもそも40.69%という日本の法人実効税率は高いのでしょうか?
日本の法人税率が高止まりしている一方で、過去20年間、世界の国々は税率を引き下げてきました。
その結果、日本の法人実効税率は高水準にあるといえます。

【法人所得課税の実効税率の国際比較】

税率引き下げ競争の背景には、各国の経済戦略が見え隠れします。
大まかにいうと外国企業の積極的誘致を目指す国は10%台、自国企業の海外流出を防ぎたい国は20%台後半に法人実効税率を設定しています。
また、税率は企業の競争力にも影響を与えます。たとえば、日本に本社を置く国際企業とスイスに本社を置く国際企業の税引前当期純利益(=課税所得金額と仮定)が100だとすれば、税引後当期純利益はそれぞれ59.31と78.83となり、企業の手許資金に大きな差が生じます。

3.法人実効税率は20%台へ?

それでは実効税率はどれくらいの水準まで引き下がるのでしょうか。
経済産業省は「産業構造ビジョン2010」案の中で、平成23年度の税制改正で5%程度、中長期的に国際水準(25%-30%)を目指して引き下げていくことを発表しました。
実効税率の引き下げは、財源確保などとあわせて検討されるため、最終的にいつ、どれくらいの引き下げ幅で実現されるかは流動的です。

実効税率の引き下げ

ところで、法人税の税率に関して中小法人は優遇されています。所得金額800万円以下の部分の実効税率は、40.69%ではなく、約26%程度です。平成22年度税制改正では、その800万円以下に適用される法人税の軽減税率の引き下げは見送られましたが、今後、その早急な実施に向けて検討することになっています。
現行の実効税率40.69%を国際水準である25%-30%を目指して引き下げるなら、中小法人の軽減税率も大幅に引き下がることが予想されます。

法人税の税率に関して

4.赤字の中小法人 欠損金の繰戻し還付を検討

黒字の中小法人は、軽減税率によって優遇されていますが、赤字の中小法人も優遇されています。前期が黒字で今期は赤字の中小法人は「欠損金の繰戻し還付制度」によって、前期の法人税の一部、あるいは全部を還付してもらうことができます。
注意したいのは還付がいつも有利とは限らないことです。しかし、下の図のように「翌期に法人税率が引き下がる局面」では、還付が有利です。

【中小法人が欠損金の繰戻し還付を受けるケース】

※欠損金の繰戻し還付制度は、原則として長らくその利用が停止されていましたが、平成21年度の税制改正により、中小法人は利用できることになりました。

【翌期に法人税率が引き下がる局面】

5.実務上の対応

法人実効税率の引き下げが予想される局面において、企業はどのようなことを検討すべきでしょうか。
黒字企業は、将来の税率の低下によるキャッシュフローの変化(手許資金の増加)を認識した事業計画を立てたり、また、赤字企業は、前期の決算状況を踏まえて、欠損金をどのように取り扱うかを総合的に検討すべきです。

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