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税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2015.4.21設備導入における優遇税制と補助金

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

※この文章は平成27年3月30日現在の情報に基づいて作成しています。
具体的な対応については、貴社の顧問税理士や弁護士などの専門家とご相談ください。

第25回のコラム「生産性向上設備投資促進税制とは?」において、税制の概要と半年間の利用状況を記載しました。今回は、この税制のその後の利用状況と平成26年度補正予算で大型の補助金が決定した「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」についてご案内します。

1.生産性向上設備投資促進税制の利用件数が急増

アベノミクス「第三の矢」である日本再興戦略では、3年間(集中投資促進期間)で設備投資をリーマン・ショック前の年間約70兆円規模に回復させる目標が立てられています。それを税制面で支えるために平成26年1月に創設されたのが「生産性向上設備投資促進税制」(以下、本税制)です。今までに類をみない優遇税制と言われるだけあって、本税制の適用を受けるための前提となる証明・確認件数は、下表の通り1年間で12万件を超えました。特に平成26年7月から12月までの6ヵ月間で10万件超と、顕著な増加傾向が見てとれます※1

平成26年6月30日
時点
証明・確認件数
平成26年12月31日
時点
証明・確認件数
半年間の増加件数
先端設備
(A類型)
19,240件 115,470件 96,230件
生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型) 828件
総額:約1兆4,371億円
4,767件
総額:約3兆401億円
3,939件
総額:約1兆6,030億円
合計 20,068件 120,237件 100,169件

【作成:朝日税理士法人】

本税制は、質の高い設備投資を後押しするために創設され、業種(ただし貸付の用に供する場合は対象外)や企業規模に制限はなく、機械装置や器具備品から建物、ソフトウェアまでの幅広い設備が対象となっています。また、設備の導入方法についても、自己資金や借入金での購入だけではなく、割賦やファイナンス・リース取引も対象になり、その結果、中小企業から中堅・大企業まで広く利用されています。
本税制の即時償却または最大5%の税額控除という優遇措置は、平成26年1月20日から始まり平成28年3月末日まで適用できますので、まだまだ利用件数は伸びることが予想されます(平成28年4月1日から平成29年3月末日までは50%の特別償却または4%の税額控除)。

一方で、減税規模が大きい本税制は平成29年3月末日に期限が到来したら延長せずに廃止することがすでに検討されています。また、本税制は補助金との併用が原則として可能でしたが、次の経済産業省のQ&Aにあるように、現在は補助金側に制限がある場合には併用ができないことが追記されており、今後補助金ごとに確認が必要になります。

生産性向上設備投資促進税制 Q&A集(AB類型共通)※2一部抜粋
No 質問 回答
共-8 設備取得の際に国
又は地方公共団体から補助金を受けた場合でも、税制の対象となるのか。
はい、原則として対象になります。ただし、法人税法上の「圧縮記帳」の適用を受けた場合は、圧縮記帳後の金額が税務上の取得価額となります。同様に、「積立金方式」を用いた場合も、税務上の取得価額は補助金額等を差し引いた価額となります。また、補助金の交付年度が翌事業年度になる場合においては、予定交付額を差し引いた価額が税額控除対象金額となります。なお、平成26年度補正予算「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」など、補助金側に制限がある場合は併用できませんのでご注意ください。
  • ※1 経済産業省ホームページ:「産業競争力強化法」の施行から半年
    http://www.meti.go.jp/press/2014/07/20140718004/20140718004.html
    「産業競争力強化法」の施行から1年~アベノミクスの効果続々と、好事例をご紹介~
    http://www.meti.go.jp/press/2014/01/20150129002/20150129002.html
  • ※2 http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo/q_and_a.pdf

2.大型の補助金「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」

設備投資を資金面で支えるためにはさまざまな補助金の交付がおこなわれていますが、平成26年度補正予算で認められた補助金の中でも予算額が突出して多いのが「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」(以下、本補助金)です。本補助金は、「最新モデル省エネルギー機器等導入支援事業(以下A類型)」と「地域工場・オフィス・店舗等省エネルギー促進事業(以下B類型)」の2種類のタイプがあり、929.5億円という大型の予算が組まれていますので、今注目されています。
A類型の予算額は800億円程度とされており、平成27年3月16日から公募が開始され、平成27年12月11日に終了予定となっています(なお、B類型の公募期間は平成27年3月16日から平成27年4月15日まで)。交付決定額の合計が予算額に達した場合、公募期間内であっても申請の受付は終了されることが予想されます。A類型の補助金の目的は、東日本大震災以降の電力価格の高騰や、エネルギーコストの上昇による市場経済への悪影響に対応することです。そのため、エネルギー削減効果が確認できる最新モデルの省エネ機器などを地域の工場やオフィス、店舗などに導入する際に、その費用の一部を補助することにしたのです。

A類型の申請は、対象機器などに対して発行される「性能証明書」を製造メーカーなどから入手し、その証明書を添付して行います。申請方法が簡略化されましたので比較的申請が容易であり、また、対象機器の範囲が広いことから、応募が殺到することが予想されます。自社に省エネ設備の投資計画がある場合には、本補助金の内容をすぐに確認することをおすすめします。

A類型の補助事業の概要は次の通りです。
詳細は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)「最新モデル省エネルギー機器等導入支援事業(A類型)」のホームページ※3をご参照ください。

①補助対象機器

補助対象機器などは、具体的に以下の要件を満たす機器などです。

  • 2005年1月1日以降に発売が開始され、かつ、それ以降に新たな同モデルの機器など が発売されていない最新モデルであること。
  • 同一製造メーカー内の一代前のモデルとの比較において、年平均1%以上省エネルギー性能が向上していること。
  • 適用要件を満たしている証明として、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録された証明書発行団体から予め性能証明書の発行を受けていること。
  • 公募要領に記載されている「補助対象カテゴリー表」※4の機器であること。
■補助対象機器例(「補助対象カテゴリー表」から抜粋)
カテゴリー例 設備などの例
燃焼設備 燃焼用空気予熱設備 / 高効率ボイラー
熱利用設備 炉内攪拌装置 / ヒートパイプ式高効率熱交換器
電気使用設備 高性能電気分解炉・メッキ炉 / 生産・製造設備
空調設備 熱回収型ヒートポンプ方式熱源装置 / 遠赤外線利用暖房装置
給湯設備 高効率ヒートポンプ給湯機 / ガスエンジン給湯器
照明設備 LED照明器具 / 電球型蛍光灯器具
建築材料 断熱材、窓(サッシ・ガラス) / 日射遮蔽材

②補助対象となる事業者とその事業

補助対象事業者は、事業活動を営んでいる法人および個人事業主です。申請する事業者が、日本国内ですでに事業活動を営んでいる既築の工場・店舗など(以下、事業所)において、補助対象機器へ置き換える、または補助対象機器を新設する事業と、増築・改築などにおける機器の導入が補助対象となります。新たに事業活動を開始することを目的とした事業所への機器の導入は補助対象外となります。

③補助率と補助金上限・下限

補助率と補助金の上限・下限は下表のとおりです。
補助対象機器などの購入費のみが補助対象経費となり、設計費や据付費、工事費などは対象外となります。補助金額は、補助対象経費に補助率を乗じて求めます。

補助率
    補助対象経費の
  • ●1/3以内
  • ●中小企業、エネルギー多消費企業※5は1/2以内
補助金上限・下限
    ●上限:1.5億円(1事業者あたり)
  • ●下限:50万円(1事業所あたり)
  • ただし、1事業者につき申請は1回まで

④優遇税制との併用

本補助金と、エネルギー環境負荷低減推進税制(グリーン投資減税)および生産性向上設備投資促進税制の併用はできません。ただし中小企業投資促進税制(以下、中促)※6との併用は可能です。

⑤リースの利用

本補助金は、補助対象機器などの使用者を主申請者、リース会社を共同申請者としてリースを利用することが可能です。ただし、リース契約期間は原則として法定耐用年数の期間であることなどが条件になります。

補助率は1/3以内、特に、中小企業・エネルギー多消費企業は1/2以内で、1事業者あたりの補助金の上限は1.5億円、そして予算総額が800億円規模というところから判断しても、省エネを実現するための国の強い政策的なメッセージが感じられる内容です。
本補助金は、生産性向上設備投資促進税制との併用はできませんが、中促との併用は可能です。本補助金の交付対象となる場合で、中促の適用条件に該当する中小企業者や業種、対象設備(例えば、本補助金の電気使用設備の「生産・製造設備」は、中促の機械・装置に該当する可能性があります)の場合、補助金の交付とともに、優遇税制のメリットも享受できます。さらに生産性の向上に資する設備であれば、中促の上乗せ措置が利用でき、100%の特別償却(即時償却)も選択可能です。また、購入だけでなくリースの活用もできますので、申請者の資金計画に応じて選択してください。

  • ※3 https://sii.or.jp/category_a_26r/
  • ※4 http://sii.or.jp/category_a_26r/file/taishou_category.pdf
  • ※5 本補助金における中小企業の定義は、「公募要領」8ページを参照してください。
    https://sii.or.jp/category_a_26r/file/kouboyouryou_a.pdf
    エネルギー多消費企業とは、エネルギーコストが売上の10%以上を占める企業を指します。
  • ※6 中小企業投資促進税制は、平成29年3月末日までの期間において、資本金1億円以下の法人および個人事業主が、機械装置などの対象設備を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(税額控除は、資本金3,000万円以下の法人および個人事業主が対象)の適用が受けられます。また、生産性の向上に資する設備を取得した場合については、次の上乗せ措置が利用できます。(1)個人事業主および資本金3,000万円以下の法人については、即時償却または10%の税額控除、(2)資本金3,000万円超1億円以下の法人については、即時償却または7%の税額控除。

3.優遇税制と補助金について

導入を計画している設備などが、優遇税制と補助金公募の適用条件に該当し、両者を検討する場合は、補助金申請の検討を優先すべきでしょう。補助金の多くは、予算額や採択件数・公募期間が予め決まっています。タイミングを逃さず、まずは補助金を優先し、補助金の審査で採択されなかった時に優遇税制の適用を受けるという、両面の検討を事前にすべきです。

ところで、多くの補助金は後払いです。例えば総額3千万円の設備導入で1千万円(補助率1/3の場合)の補助金が交付される場合でも、まずは全額の3千万円をあらかじめ調達して購入する必要があります。ただし、リースが利用できる補助金事業で、リース会社を共同申請者として申請し交付を受けたリース取組の場合は、当初の資金準備は原則として不要となります。また、補助金相当分を差し引いてリース料を設定しますので、この場合の実質負担は、2千万円をもとに算出されたリース料総額となります。

以上、国の施策を理解し、優遇税制と補助金を上手に活用することで、効果的な設備投資をすすめてください。

【東京 朝日税理士法人】
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