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経営者のための税務・会計解説

税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2011.1.5株式相場低迷期は非上場株式の移転チャンス

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

1.自社株式の評価額を把握していますか

非上場会社の経営者にとって自社株式の評価額は気になるところです。しかし、自社株式の評価額を把握している経営者は多くはないでしょう。それは、上場株式と違い非上場株式には取引相場がないためです。では、非上場株式はどのように評価するのでしょうか。株価の評価方法は様々な方法がありますが、非上場株式の相続、贈与、個人間の譲渡の局面では、相続税の財産評価基本通達に基づいて評価します。
今回は、非上場株式の相続税評価について具体的に見ていきましょう。

2. 株主によって評価方式が違う

非上場株式の評価方法は大きく2つあります。非上場株式を取得した株主が、その会社の経営支配力を持つ同族株主の場合は原則的評価方式、単に配当期待を目的とした少数株主の場合には特例的評価方式により評価します。

非上場株式の評価方法

3.原則的評価方式とは

原則的評価方式には、類似業種比準方式と純資産価額方式があります。
類似業種比準方式とは、業種目が類似する上場会社の「株価」「一株当たりの配当」「一株当たりの年利益」「一株当たりの純資産価額」を比準させて計算する方式です。上場会社の株価を利用して計算することから、上場会社の株価水準の影響を受けるのが特徴です。
純資産価額方式とは、会社の資産(相続税評価額)から負債(相続税評価額)及び、評価益に対する法人税額等相当額を控除して計算する方式です。

類似業種比準方式

純資産価額方式

4.会社の規模で評価方式が違う

非上場会社にも上場企業並みの大規模な会社から個人企業並みの小規模な会社まで様々あります。そこで、同族株主が取得した非上場株式については、「総資産価額」「従業員数」「取引金額」のという3つの基準によって、「大会社」「中会社」「小会社」に区分します。この区分ごとに下記の図のように評価方法が異なります。
なお、保有資産のうち土地や株式の割合の大きい会社や、開業後3年未満の会社等の特定の条件を満たす会社※は原則として純資産価額か別の特別な評価方式での評価となります。

会社の規模ごとの評価方式

※比準要素数1の会社、株式保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社、比準要素0の会社、開業前又は休業中の会社が該当します。

5.株価引き下げ対策

一般的には、純資産価額より類似業種比準価額の方が低くなることが多いです。このため、会社規模を大きくして類似業種比準価額の割合を高めることが株価引き下げ対策となります。
また、類似業種比準価額の計算要素である「配当」「利益」「純資産価額」のうち、「利益」は3倍の比重があります。つまり、タックスプランニングにより「利益」を引き下げることができれば、類似業種比準価額の引き下げ効果は大きくなります※。
純資産価額の引き下げの対策の代表例として、取得価額と相続税評価額の差額を利用した借入れによる不動産の取得や役員退職金の支給などがあります。ただし、不動産は取得後3年間は時価評価となりますので、引き下げ効果が表れるのは不動産の取得後3年経過後となります。

※グループ法人税制の適用がある場合は、税務上、含み損益は実現せず、類似業種比準価額を計算する上で利益と純資産には影響を及ぼさないので注意が必要です。

株価引き下げ対策

6.実務上の対応

一般的に株式相場の低迷期には類似業種比準価額は低くなり、株式相場の好調期には類似業種比準価額は高くなります。これは上場会社の株価が類似業種比準価額の計算要素の一つであるためです。

・株式相場が低迷期のとき類似業種比準価額は低くなる
・株式相場が好調期とき類似業種比準価額は高くなる

一般の会社であれば類似業種比準価額が低くなると非上場株式の相続税評価額も低くなります。株価低迷期は低い価額で後継者等へ自社株式を移転できるチャンスといえます※。
相続、贈与、個人間の譲渡どの局面においても、まずは自社株式の相続税評価額を把握することが必要となります。現状を把握した上で、上記5に記載した株価引き下げ対策が実行できるかを検討してみましょう。

※兄弟姉妹以外の相続人には遺留分という一定割合の保障があります。譲渡の場合には問題となりませんが、贈与の場合には遺留分を考慮に入れておく必要があります。

会計・税務処理については貴社の顧問税理士等の専門家とご相談ください。

【東京 朝日税理士法人】
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