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経営者のための税務・会計解説

税務・会計アラカルト ~知っておきたいニュースを解説

2011.3.1平成23年度税制改正 法人に対する課税はどうなるか

この文章は、東京 朝日税理士法人によるものです。

1.平成23年度税制改正大綱の内容

平成22年12月16日に発表された平成23年度税制改正大綱(以下、「大綱」)は、法人の負担減、個人の富裕層の負担増となる内容でした。
法人税の実効税率が5%引き下がることにより、確かに全体として法人は負担減となりますが、他方で減価償却制度や欠損金の繰越控除等が見直されているので、注意が必要です。
そこで、大綱の改正案により、法人税がどのように変わるかを見ていきましょう。

【平成23年度税制改正大網の主な概要】

2.法人実効税率が40.7%から35.6%へ

法人実効税率が5%引き下げられると、現行の40.7%が35.6%(※1)になります。

(※1) 「法人実効税率」とは、法人事業税及び地方法人特別税が損金算入されることを調整した上で、法人税、法人住民税、法人事業税(所得割)、地方法人特別税の税率(法人事業税及び地方法人特別税については、外形標準課税の対象となる資本金1億円超の法人に適用される税率)を合計したものです。法人税率(国税)を4.5%引き下げるとともに法人住民税率(地方税)を維持することにより、法人実効税率は、国税と地方税を合わせて5.05%(東京都)下がり、現行の40.69%(東京都)が35.64%となります。なお、5.05%の内訳は、法人税分が4.18%、法人住民税分(東京都)が0.87%です。

法人実効税率の5%引き下げについては、国の財政が悪化している中、なぜと思われるかもしれません。しかし、製造拠点や研究開発拠点の海外流出を抑制し、国内の投資拡大と雇用の創出、デフレ脱却のためには法人実効税率引き下げは必要だと判断されました。経済産業省では、この5%引き下げは主要国並みに引き下げるための「第一歩として」位置づけています(※2)。

(※2)経済産業省が平成22年12月に公表した『平成23年度税制改正について(参考資料)』によると、「国際的に見て高すぎる法人実効税率を主要国並みに引き下げるための第一歩として、法人実効税率を5%引き下げる」とあります。「主要国並み」とは、どのレベルの水準かが気になるところです。平成22年6月3日に公表された『産業構造ビジョン2010』では、国際的水準を25%~30%と考え、それを目指した法人税率(国と地方を含む)の引き下げを図ることを提言しています

改正案による具体的な法人税の税率表は、次の通りです。中小法人の年800万円以下の部分の税率も下がります(18%→15%)。

法人税の税率表

適用時期平成23年4月1日以後に開始する事業年度から適用

3.法人税の負担が重くなる主な項目

次に法人税の負担が増える改正案について、主要な項目を確認しましょう。

  • 減価償却の見直し(定率法の償却率250%→200%)
  • 繰越欠損金の使用制限(大法人につき80%に制限。ただし、繰越期間を7年から9年に延長)
  • 貸倒引当金の一部廃止(銀行、保険会社、中小法人等以外は廃止)
  • 研究開発税制の縮減(税額控除上限30%→20%)

ただし、中小法人等については、優遇策が講じられています。

  • 繰越欠損金の使用制限は設けず、現行通り繰越欠損金を100%利用可能(他方、繰越期間は7年から9年に延長されます)
  • 貸倒引当金の損金算入が引き続き可能

4.法人税に創設される主な項目

最後に法人税に創設される主な項目として、1雇用促進税制、2グリーン投資減税について取り上げます。

雇用促進税制の創設
国内雇用の維持・増加を支援するための税制です。
事業年度中に従業員のうち雇用保険の一般被保険者の数が10%以上かつ5人以上(中小企業者等は2人以上)増加した場合で、一定の要件を満たす事業主について、増加1人当たり20万円の税額控除ができる制度です。
中小企業の場合の具体例
措置内容

適用時期平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用

グリーン投資減税の創設
地球温暖化問題への対応とわが国の環境関連産業の需要の喚起と開発の後押しのため、取得者側に優遇措置を講じています。
制度としては、グリーン投資(※5)により設備等を取得等した場合に、取得価額の30%の特別償却が認められます。具体的には、青色申告書提出法人が、適用期間中に一定の適用要件を満たしたグリーン投資を行い、1年以内に国内で事業の用に供した場合に適用があります。中小企業者等については7%の税額控除も選択可能です。

(※5)グリーン投資とは、(ⅰ)エネルギー起源CO2排出削減または(ⅱ)再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等を取得等した場合のことをいいます。投資設備の例としては、低炭素型工業炉、高効率複合工作機械、ハイブリッド建機、高効率ヒートポンプ、天然ガスコージェネレーションシステム、高効率空調設備、高効率照明、高断熱窓、高効率換気設備、ビルエネルギー管理システム、プラグインハイブリット車、電気自動車、ハイブリッドバス、ハイブリッドトラック、太陽光発電設備、風力発電設備、バイオマスエタノール製造装置、バイオマス利用メタンガス製造装置、雪氷熱利用設備など。

適用時期平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に取得等した設備に適用

5.実務上の対応

平成23年度税制改正大綱が発表され、企業はどのようなことを検討すべきでしょうか。
黒字企業は、実効税率の低下によるキャッシュフローの変化(手許資金の増加)を認識した事業計画をたてたり、新たに創設された優遇措置の適用可能性を総合的に検討すべきです。また、赤字企業は、欠損金を繰り戻して還付を受けるか(※6)。あるいは、欠損金を繰り越す場合、欠損金の使用制限の有無による資金繰りへの影響を検討すべきでしょう。

(※6)欠損金の繰戻還付制度は、前期が黒字で今期が赤字の時に、前期に納付した法人税を赤字に対応する分だけ還付する制度です。適用対象は資本金が1億円以下の中小法人や協同組合等。ただし、平成22年4月1日以後に開始する事業年度においては、資本金5億円以上の法人の100%子会社は適用対象外。

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