第1回補助金活用のメリットと申請のポイント
-平成27年度の補助金活用にむけて-
※この文章は、株式会社名南経営コンサルティングによるものです。
※この文章は、平成27年1月16日現在の情報に基づいて作成しています。具体的な対応については、貴社の顧問税理士や弁護士などの専門家とご相談ください。
1.補助金活用のメリット
毎年、国や自治体が多額の予算を投じて補助事業を行っています。各種の政策を推進するために、政策上の目的に即した事業に補助金が交付されます。
大企業に比べて経営資源の乏しい中小企業にとって、新たな事業や設備等への投資はリスクが大きく、二の足を踏んでしまうところだと思われます。しかし、厳しい競争に勝ち残り成長していくためには、経営環境の変化に合わせた適切な投資や新事業への取り組みなどへチャレンジしていくことが求められます。
そこで活用したいのが補助金です。補助金は意外と知られておらず、活用できていない企業も多いと思いますが、補助金を上手に活用している企業は、自社の成長戦略に合わせて、各局面に応じたさまざまな補助金を受給して積極的な投資を行い、大きく成長しています。
補助金を賢く活用するポイントは、「タイムリーな情報収集」です。補助金は、1~2カ月という短い期間で募集が行われるものがほとんどです。したがって常にアンテナを張り巡らせておかないと、気づいた時には募集がすでに終わっているということになりかねません。タイムリーに情報収集を行い、自社の成長戦略にメリットをもたらす補助金を、ぜひとも有効活用したいものです。
2.主な補助金
事例紹介
① 工業炉の省エネ化(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)
従来型の工業炉を燃焼効率の高い高性能工業炉に更新することにより、消費電力の削減を図り、省エネルギー化を実現するもの。
⇒ 設備導入費用の1/3(上限50億円)が補助される。
② 新型マシニング導入による高精度、短納期化
(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業)
新たに高精度マシニングを導入し、自社の精密加工技術を高め、製品の高精度化、短納期化を実現するもの。
⇒ 設備導入および試作開発費用の2/3(上限1,000万円)が補助される。
※上記①②は過去の事例であり、同様の申請であっても、採択されるかどうかは、予算や申請者数などによって異なります。
3.補助金申請のポイント
補助金は、申請すれば誰でも簡単にもらえるというものではありません。所定の申請書類を作成して提出し、数倍の倍率で採択か不採択かが決定される厳しい審査をクリアしなければなりません。
では、厳しい審査をクリアするにはどうすれば良いのか、そのポイントを以下に記載します。
①こまめに情報収集をする
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21 支援情報ヘッドライン 補助金・助成金・融資一覧」※1や独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「公募情報一覧」※2などのホームページを週1回程度チェックし、近く公募が開始される予定の「公募予告」や、実際に公募が開始された補助金の「公募情報」をタイムリーに入手します。
※1:http://j-net21.smrj.go.jp/headline/support/su01a1.shtml
※2:http://www.nedo.go.jp/search/?type=koubo
②計画的に取り組む
補助金の対象設備等の取得は、補助金申請後に行われる「交付決定」の後に発注されたものに限られるなど、実施時期の制約を受けるため、補助金事業のスケジュールに合わせた計画的な準備が必要になります。
③事業計画書を作成する
補助金はあくまでも自社の事業遂行を補完するための手段です。
まずは自社が取り組もうとする事業計画を整理し、その計画にマッチする補助金があれば活用する、という姿勢が大切です。
都道府県が所管する「経営革新計画」※3の承認申請をすることで、事前に事業計画を整理することができます。「経営革新計画」の承認が、補助金審査上有利になるケースもあるため、承認を受けておくことをおすすめします。
※3:中小企業などが、「中小企業新事業活動促進法」に基づいて、新製品の開発や生産、新サービスの開発や提供などの「経営革新計画」を作成し都道府県などから承認を受けると、政府系金融機関の低利融資や信用保証の特例、税制上の優遇措置などの支援策を利用することができます。(ただし、各支援実施機関による別途審査が必要になります。)
④補助事業が求める要件、趣旨を正確につかむ
補助事業ごとに、対象となる事業の要件や、補助事業の趣旨は異なります。そのため、それらの情報を正確につかみ、申請書に適切に表現することが大切です。
適用要件や趣旨を十分理解しないまま的外れな内容で申請し、不採択となるケースが多く見られます。
⑤申請窓口とコミュニケーションをとる
申請窓口への問い合わせを根気よく行い、正しい情報を入手しましょう。
⑥客観的に分かりやすく記載する
第三者である審査員が理解できるよう、分かりやすい表現や、文章を心がけましょう。審査員は膨大な量の申請書類に目を通します。それを考慮し、申請書類冒頭の概要部分でポイントを分かりやすくアピールすることが大切です。
以上、補助金活用のメリットと、その申請のポイントについてご紹介させていただきました。優遇税制との組み合わせや、設備を導入する際にはリース取引を活用することにより、そのメリットはさらに大きくなる可能性があります。ぜひ、事業計画の検討段階からタイムリーに情報収集を行い、必要に応じて専門家を有効に活用してください。
【株式会社名南経営コンサルティング】
名南コンサルティングネットワークの一社として、幅広い顧客層にさまざまな経営コンサルティングなどを実践している。