第54回民法改正と賃金請求権の消滅時効の伸長
-企業におけるリスクとその対応-

※この文章は、社会保険労務士法人 名南経営によるものです。

※この文章は、2020年2月7日現在の情報に基づいて作成しています。具体的な対応については、貴社の顧問弁護士や社会保険労務士などの専門家とご相談ください。

2020年4月に民法の一部を改正する法律が施行されます。その中において、各種債権の消滅時効に関する取り扱いが見直されました。同時に労働基準法における賃金等請求権の消滅時効に関する取り扱いについても改正される見通しとなりました。今回はその改正概要と企業における対応、特に未払い賃金の発生を防ぐための対策について解説します。

1.賃金等請求権の消滅時効をめぐる議論と改正内容

(1)賃金等請求権の消滅時効見直しの契機となった民法改正

2017年6月2日に民法の一部を改正する法律(以下、民法一部改正法)が公布され施行日は2020年4月1日とされました。この民法改正においては、民法を国民一般にわかりやすくするという観点から、細かな特例により、分野によってバラバラとなっている各種債権の消滅時効期間について、統一化を図るという内容が盛り込まれました。
具体的には図表1の通り、職業別の短期消滅時効を廃止し、一般債権については、ⅰ) 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、また は、ⅱ) 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき、のいずれか早い方に時効によって消滅することと整理されました。

<図表1> 民法改正における消滅時効の見直し

民法改正における消滅時効の見直し
  • (出典)第157回労働政策審議会労働条件分科会(2019年12月24日)「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討の参考資料」より一部抜粋
    https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000579366.pdf

(2)労働基準法における賃金等請求権の消滅時効

労働関係における賃金等請求権の消滅時効については、民法の特別法である労働基準法の第115条において、労働者保護等の観点から2年間(退職手当については5年間)という期間が定められています。そのため、労働法の分野においても民法改正を受けて、賃金等請求権の消滅時効の在り方について検討を行う必要性が生じました。
そこで厚生労働省では、2017年12月に「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」※1を立ち上げて議論を重ね、2019年7月からは「労働政策審議会労働条件分科会」※2に議論の場を移し、主に次の論点について議論されました。

<労働基準法における賃金等請求権の消滅時効に関する主な論点>

  1. ① 賃金請求権の消滅時効の起算点および消滅時効期間について
  2. ② 賃金請求権以外の請求権の消滅時効期間について
  3. ③ 記録の保存について
  4. ④ 付加金について
  5. ⑤ 見直しの時期、経過措置について
  • ※1:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_503103.html
  • ※2:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126969.html

(3)「労働政策審議会労働条件分科会」における検討結果

2019年12月に「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」※3報告され、2020年1月には、その報告の内容に沿って労働基準法の一部を改正する法律案要綱がまとめられました。法案は通常国会に提出され、2020年4月の施行に向けて準備が進められているところです。その概要は次の通りです。

① 賃金請求権の消滅時効の起算点および消滅時効期間について

賃金請求権は労働者にとって重要な債権であり、労働者保護を目的とするところから、総合的に勘案すると、賃金請求権の消滅時効期間は5年とする。起算点は、現行の労働基準法の解釈・運用を踏襲するため、客観的起算点を維持し、これを労働基準法上明記することとすべきである、とされました。
ただし、直ちに長期間の消滅時効期間を定めることは、労使の権利関係を不安定化させるおそれがあるため、現行の労働基準法第109条に規定する記録の保存期間に合わせて、当分の間、3年間の消滅時効期間とすることで、企業の記録保存に係る負担を増加させることなく、未払賃金等に係る一定の労働者保護を図るべきであるとされました。また、退職手当の請求権の消滅時効期間については、現行の消滅時効期間5年を維持すべきとされています。

② 賃金請求権以外の請求権の消滅時効期間について

図表2の賃金請求権以外の請求権については、これまでも民法の一般債権の消滅時効期間(10年)に関わらず一律に労働基準法で2年間の消滅時効期間とされていることに加えて、図表2に記載の理由から、現行の消滅時効期間(2年)を維持すべきであるとされました。

<図表2> 賃金請求権以外の請求権と消滅時効期間について

請求権の種類 消滅時効期間を2年間とする理由
年次有給休暇請求権 権利が発生した年の中で確実に取得することが要請されており、仮に消滅時効期間を現行より長くした場合、この制度趣旨にそぐわず、また、年次有給休暇の取得率の向上という政策の方向性に逆行するおそれがあるため。
災害補償請求権 傷病の業務起因性を明らかにする必要があるが、時間の経過とともにその立証は労使双方にとって困難となることから、早期の権利確定による労働者救済を図るため。また、早期に災害補償の請求を行うことにより、企業に対し安全衛生措置を早期に講じることを促すため。
その他の請求権
[帰郷旅費] 契約解除の日から14日以内に帰郷するときの旅費の請求権
[退職時の証明] 労働者が証明書を請求した場合に遅滞なく交付される権利
[金品の返還(賃金を除く)] 権利者が請求した場合7日以内に返還される権利
元来早期の権利確定を念頭に置いたものであり、労働契約の解消から長期間経過した場合には労働者と元の使用者との権利関係の立証が困難となり、無用の混乱が生じるおそれがあることから、早期の権利確定のインセンティブを維持する必要性があるため。
  • (出典)厚生労働省「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」第159回労働政策審議会労働条件分科会(資料)を一部抜粋し作成
    https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000584148.pdf

③ 記録の保存について

労働者名簿や賃金台帳等の記録の保存義務については、証拠を保存する趣旨であるため、賃金請求権の消滅時効期間に合わせて原則は5年としつつ、消滅時効期間と同様に当分の間は3年とすべきであるとされました。

④ 付加金について

付加金については、割増賃金等の支払義務違反に対する一種の制裁として未払金の支払を確保することなどの観点から設けられているため、その請求期間については、賃金請求権の消滅時効期間に合わせて原則は5年としつつ、消滅時効期間と同様に当分の間は3年とすべきであるとされました。

⑤ 施行期日、経過措置について

(ア) 施行期日:2020年4月1日

民法一部改正法による契約上の債権の取り扱いを踏まえ、民法一部改正法の施行の日(2020年4月1日)とすべきであるとされました。

(イ) 経過措置

民法一部改正法の経過措置は、施行期日前に締結された契約に基づく債権は改正前の法律が適用されるとしています。しかし、仮に賃金請求権の消滅時効期間について民法一部改正法と同様の経過措置としますと、労働者単位で消滅時効期間が異なるなど、労務管理などに混乱を生ずるおそれがあるため、施行期日以後に賃金の支払期日が到来した賃金請求権の消滅時効期間について改正法を適用することとし、付加金の請求期間についても同様の取り扱いとすべきであるとされました。

  • ※3:厚生労働省「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」第159回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000584148.pdf

(4)改正による変更点

今回の労働基準法の一部を改正する法律案において、主な項目の改正前後の期間をまとめますと図表3の通りです。

<図表3>改正による期間のまとめ

項目 改正前 改正後
賃金請求権の消滅時効期間(①) 2年間 原則5年間
但し当分の間は3年間
労働者名簿や賃金台帳等の記録の保存期間(③) 3年間
付加金の請求期間(④) 2年間

2.賃金等請求権の伸長に伴う影響と企業における対応

賃金請求権の消滅時効期間および付加金の請求期間が、従来の2年間から当分の間は3年間(原則5年間)に伸長されるため、未払い賃金が発生し訴訟などとなった場合、請求額が改正前と比較して高額となる可能性があります。そのため、企業においてはリスク対策として、未払い賃金が発生しない仕組みづくりを行うこと、また、現時点で未払い賃金が発生していないか、この機会にあらためて点検をしておくことが望ましいといえるでしょう。未払い賃金の発生を防ぐための対策については詳しく後述します。
また、労働者名簿や賃金台帳その他の労務関係の各種書類の保存期間が、現状3年間であるところ、時期は未確定ながら、将来的には5年間に伸長されるため、今後を見据え、その際にどのような保管ルールとするか、保管方法、破棄方法、破棄のタイミングなど、社内検討をしておくとよいでしょう。

3.未払い賃金の発生を防ぐための対策

未払い賃金の発生を防ぐための企業の対策としていくつかの点が挙げられますが、重要なのは、未払いとなる労働時間の発生自体を防ぐため労働時間の適正管理を行うことと、割増賃金計算を適正に行うことです。

(1)労働時間の適正管理

使用者は、労働時間を適正に把握し管理する必要があります。この労働時間については、労働基準法上に明確な定義はありませんが、判例※4において「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことをいうと示されており、使用者から明示された命令だけでなく、黙示的な指示により労働者が業務を行う時間も労働時間に当たります。労働時間に該当するか否かは、労働契約や就業規則などの定めによって決められるものではなく、客観的に見て、労働者の行為が使用者から義務づけられたものといえるか否かなどによって判断されます。

労働時間を適正に把握するためには、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認しこれを記録しなければなりません。その際の始業・終業時刻の確認・記録方法としては、原則として次のいずれかの方法によることとされています。

  • ・使用者が自ら現認することにより確認し適正に記録すること。
  • ・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し適正に記録すること。

この他の方法として、自己申告による労働時間の把握ということも考えられますが、自己申告による場合は労働時間管理が曖昧となりがちであるため、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」※5においては例外的な方法と位置付けられています。

次に、例えば従業員が任意参加で開催した研修会への参加時間が労働時間であるかといったように、いくつかの場面において当該時間が労働時間に該当するか否かが問題となるケースが考えられます。2019年秋に厚生労働省が、労働基準監督署への問い合わせが多いケースについて解説したリーフレット「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」を公開していますので、図表4の事例などについて労働時間であるか否かの判断に誤りがないか点検し問題がある場合には取り扱いを変えるなどの対応をしておきましょう。

<図表4> 「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」において解説された事例

研修・教育訓練 研修・教育訓練について、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間に該当しません。
仮眠・待機時間 仮眠室などにおける仮眠の時間について、電話等に対応する必要はなく、実際に業務を行うこともないような場合には、労働時間に該当しません。
労働時間の前後の時間
  • ・更衣時間について、制服や作業着の着用が任意であったり、自宅からの着用を認めているような場合には、労働時間に該当しません。
  • ・交通混雑の回避や会社の専用駐車場の駐車スペースの確保等の理由で労働者が自発的に始業時刻より前に会社に到着し、始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示も受けていないような場合には、労働時間に該当しません。
直行直帰・出張に伴う移動時間 直行直帰・出張に伴う移動時間について、移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することもなく、移動手段の指示も受けず、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に該当しません。
  • (出典)厚生労働省リーフレット「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」から一部抜粋して加工
    https://www.mhlw.go.jp/content/000556972.pdf
  • ※4:裁判所「平成12年3月9日最高裁第一小法廷判決・賃金請求事件」
    http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52572
  • ※5:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

(2)適正な割増賃金計算

2019年末に大手コンビニエンスストアを運営する企業が、雇用するパートタイマー・アルバイトの割増賃金計算において、長年に渡り一部計算誤りがあったことを公表し、その追加支払いを行うことが大きく報じられことは記憶に新しいところです。割増賃金の計算において、誤り1件1件は比較的少額であったとしても、従業員数や対象期間によっては、その賠償額はかなり高額になる可能性がありますので軽視できません。
割増賃金は以下の計算式を用いて算出されます。

割増賃金 = 1時間当たりの賃金額 × 割増賃金の対象となる労働時間数 × 対象となる割増率

割増賃金の計算において、誤りを防ぐためには次のポイントを確認されておくとよいでしょう。

① 1時間当たりの賃金額

割増賃金の計算基礎となる1時間当たりの賃金額の算出方法は図表5の通りです。

<図表5> 1時間当たりの賃金額の算出方法

  1. (a) 時間によって定められた賃金については、その金額
  2. (b) 月によって定められた賃金については、その金額を月の所定労働時間数(※)で除した金額
    (※)月によって所定労働時間が異なるときは1年間における月平均所定労働時間数
  3. (c) 日によって定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数で除した金額
  4. (d) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、賃金算定期間における当該賃金の総額を、その賃金算定期間における総労働時間数で除した金額
  5. (e) 月額賃金と日額賃金を受ける場合などはそれぞれの1時間当たりの賃金額を合計した金額

このとき、下の図表6の賃金は、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されていることなどにより、基礎となる賃金から除外することができます。除外できる賃金は例示ではなく限定的に列挙されています。裏返していえば、図表6に列挙される賃金以外は、基本的にすべて算入しなければなりません。割増賃金の算定基礎が基本給のみとなっていたり、手当の算入、不算入に誤りあったりするケースが見られますので、そのようなことがないよう、各種支給一つ一つについて取扱いに誤りがないか、今一度、確認をされておかれることをお勧めします。

<図表6> 割増賃金の算定基礎から除外できる賃金(限定列挙)

  1. ・家族手当
  2. ・通勤手当
  3. ・別居手当
  4. ・子女教育手当
  5. ・住宅手当
  6. ・臨時に支払われた賃金(結婚手当など)
  7. ・1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

※名称の如何を問わず実態での判断となる。例えば、「住宅手当」の名称でも、全員に一律に定額で支給されるなど、住宅に要する費用に応じて算定されない賃金は除外できない。

また、ボリュームゾーンになると思われる月給の正社員については、図表5の(b)の通り算出することになります。一般的には月によって所定労働時間は異なることが多いため、1年間における「月平均所定労働時間数」を用いることになりますが、その算出方法としては年間の総所定労働時間を12カ月で除した時間数です。ところが、この値に以下のような誤りがみられることがありますので点検をしておくとよいでしょう。

  • ・そもそも適正な計算式に沿った計算での算出がされていない
  • ・毎年、年間の総所定労働時間の変動があるにも関わらず、月平均所定労働時間数が変わっていない
  • ・1年単位の変形労働時間制を採用した場合の最大値である173時間を超えた時間数となっている

② 割増率

割増率については労働基準法において、図表7の割増率以上の金額を支払うことが義務付けられています。下記の割増はあくまで法定最低限であるため、企業によっては法定の割増率以上の率を就業規則(賃金規程)において定めている場合もあります。自社の規定がどのようになっているか確認し、対象の時間に対する割増率を誤ることなく適用する必要があります。

<図表7> 法定の割増率

種類 割増率
法定時間外労働 25%以上(月60時間を超える場合は50%以上
法定休日労働 35%以上
深夜労働 25%以上
  • ※中小企業は2023年3月31日まで猶予。中小企業の範囲はこちらを参照してください。

(3)その他の注意点

未払い賃金の発生を防ぐにあたっては、その他にも次のような注意点があります。

① 管理監督者

労働基準法上の管理監督者については、労働基準法第41条において、労働時間に関する規定(労働時間、休憩、休日)の適用が除外され、割増賃金(深夜割増を除く)の支払いが不要とされています。
管理監督者の定義としては、労働条件の決定その他の労務管理について、「経営者と一体的な立場にある者」とされています※6。ところが、そのような立場とは言い難い従業員までもが、割増賃金の支払い対象から除かれてしまっている、いわゆる名ばかり管理職問題があります。
対象者が管理監督者といえるかどうかについては、主に次のような観点で確認をしておくとよいでしょう。

  • ・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動させざるを得ない重要な職務内容であるか。
  • ・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動させざるを得ない重要な責任と権限を有しているか。
  • ・現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであり、厳格な管理をしていないか。
  • ・下位の役職者と賃金の逆転現象が起こらないなど、その地位にふさわしい相応の処遇がされているか。
  • ※6:厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/kanri.pdf

② 営業職の社員

営業職の社員などにおいて、営業手当といった名称の手当の支給は行っているものの、それをもって割増賃金の支払いを一切していないという企業も少なからずあるようです。当然ながら、営業職の社員であるからといって時間外労働などに対する割増賃金の支払いが除外されるわけではありません。営業手当を定額残業代の意味合いで支払っているという場合には、その旨を就業規則や各人の雇用契約書(労働条件通知書)において明記し、包含されている割増賃金の時間数や金額についても明示し、本人への説明・周知を行っておくことが必要です。それを怠っている場合には、定額残業代の有効性が否定され、割増賃金の支払いが一部または全部されていないと判断される可能性がありますので、営業手当、定額残業代の支払いの在り方について確認をしておきましょう。

(4)チェックリスト

今回の法改正によって、賃金等請求権の消滅時効が伸長することとなり、未払い賃金問題が発生した際には、その問題の重大性が増すことになりますので、ご紹介した観点を参考に未払い賃金の発生を防ぐ対策を取っていただけるとよいと思います。最後に、未払い賃金対策の点検に使えるよう、主な点検項目を列挙したチェックリストを作成しましたので、ぜひご活用ください。

【チェックリスト】未払い賃金の発生を防ぐための主な点検項目

No. 分野 点検項目 確認
1 労働時間管理 労働時間の把握、記録がされていない職場や従業員はいないか。
2 勤怠打刻上の時間と実際の労働時間に乖離はないか。
3 始業時刻前に相当程度早く職場に到着する、終業時刻後も不必要に職場に残っていないか。
4 自己申告制において、実態との乖離が生じていないか。
5 従業員が自ら、あるいは上司が命じて、持ち帰り残業やサービス残業をしていないか。
6 所定の休憩時間が取れていないといった実態はないか。
7 労働時間の
取り扱い
研修・教育訓練の時間の取り扱いが適正か。
8 仮眠・待機時間の取り扱いが適正か。
9 労働時間の前後の時間の取り扱いが適正か。
10 直行直帰・出張に伴う移動時間の取り扱いが適正か。
11 割増賃金計算 割増賃金の計算式に誤りがないか。
12 割増賃金の計算基礎に算入する賃金の範囲に誤りがないか。
13 月平均所定労働時間は適正な時間数となっているか。
14 割増率の取り扱いに誤りがないか。
15 その他 管理監督者の対象範囲は適正か。
16 営業職に残業代が払われていないということがないか。
17 定額残業代の取扱いは適正か。

※筆者作成

【社会保険労務士法人 名南経営】

名南コンサルティングネットワークの一社として、幅広い顧客層にさまざまな経営コンサルティングなどを実践している。